ルアーの動きをシミュレーションで予測できるか検討してみた。

ルアーの動き。非常に複雑でもあり、規則的でもある。ルアーを使ったことのある人や、ハンドメイドしている人は、一度はこう考えたことがあるはずです。

「ルアーの水中の動きを予測できないものか?」

と。そこで、OpenFOAMを使ってルアーのシミュレーションでルアーの動きを予測できるか検討してみました。

かなりマニアック記事です。変態フィッシャーマンにお勧めです。

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事前調査

まず、ルアーのシミュレーションがどのくらい行われてきたのかを調べてみました。

最も有益な情報は、東京電機大学の高橋先生の研究です。

先生は

で,以下のように述べられています.
「リップ周辺の流れからルアーの運動のメカニズムが流体力学的に解明され,ルアーの設計指針が確立されれば,今後のルアー開発に有益であると考えられる.
(中略)
ルアーの非定常運動について,渦や周辺流れなどの流体力学的な考察はほとんどなく,水中での複雑な運動の原因はよくわかっていない.そこで本研究では水中でのルアーの非定常運動を,回流水槽を用いた実験から 解析し,ルアーの流体力学的特性を調べることを目的とする.」

ルアーのシミュレーションに関しては、すでに高橋先生が取り組まれており多くの知見が得られています。つまり、できる人はできる。ただ難しい。

ルアーのシミュレーションは高橋先生の言われている通り,メーカーならびに個人に関係なくルアー設計の強力なツールになることは容易に想像できます。

研究機関なら、シミュレーションに必要な計算リソース等や知識もあるでしょう。しかし、一個人でルアーシミュレーションをできるのか?について調べました。2010年ではありますが,このような情報を見つけました。

否定的な意見が目立ちます。

Youtubeでルアー関連のシミュレーション結果を検索しましたが該当するものはありませんでした。しかし,1つ面白いものを見つけました。

まとめると、高橋先生によってルアー周囲の流れやその運動について検討がなされているがシミュレーションをルアーの作製プロセスに落としこんだものはなさそう。また個人で取り組むこと自体が困難であるという意見もありました。

結局、できんの?

精度云々はわかりませんが、とりあえずできました。使用したソルバーはOpenFOAMのinterDyMFoamとDynamicMeshを組み合わせて、ルアーの動きを予測します。

この辺の詳しいことは、技術メモを別途書きます。

実際に予測した結果

動きを再現するルアーはこちら。

{8C6648BA-BADE-42C3-BECA-EAD71EF4A103:01}

昔、作成したハンドメイドルアーです。結構、いい色でしょ?

CADデータはこんな感じ。Fusion360で作成してます。※形が若干違うのはご勘弁を・・・。

解析条件を簡単に。

  • ルアーは水流で変形しない=剛体過程
  • フックの慣性モーメントのみ考慮し計算
  • ボディはバルサ。リップはGFRP想定
  • ギア比6前後のリールで1秒間1回転の巻き取り速度を想定
  • 乱流モデルはRANS(とりあえず。いずれLESで)

なお、以下の結果は、ルアーに動きを与えているわけではありません。水流を受けて自発的に動いています。

シミュレーション結果として,1秒以降,ローリングとウォブリング(ヨーイング)を混ぜたような運動が始まることがわかりました.

動きはおかしいですが、とりあえず動かすことまでは確認できました。

ルアー後方に発生する流れを可視化してみる

モデルを改良し、動きがマシになりました。そこで興味本位でルアー後方の流れを可視化してみました。

左から右に0.5m/sで水が流れてます。横から見た動画。

ちょっとルアーが見にくいですが,ロール運動をしている様子がわかると思います.後方の色(コンター)がいつているところは乱れた流れ(乱流)。直感的にはあってそうです。

とりあえず、ルアーのシミュレーションは個人でもできそうです。

OpenFOAMに感謝ですね。しかし、シミュレーション結果があっているかはわかりません。今後、検証してく予定です。あと、キャスト時の空気抵抗とか計算してみたいですね。

まとめ

  • ルアーの動きをシミュレーションで予測できそう。
  • ルアー後方の流れを可視化するのは面白い。
  • シミュレーションモデルを改良してく。

以上

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