で壁付けモスホルダーを紹介しました。この記事の目的はモスホルダーの紹介もあったんですが、3Dプリンター製品を水槽で使用して生体に影響がないか?についても着目していました。
その後、調査+検証実験でなんとなくわかってきたので紹介します。
※ついでに、設置から約1か月経過したのでモスの成長経過もまとめます。
ふりかえり+目的
繰り返しになってしまいますが、うちの水槽は底面フィルターを使用してます。なので、ソイルの上にはできるだけ物を置きたくない。つまり流れを阻害したくないのです。
流木とか溶岩にモスを巻き付けて、たくさん入れていましたがリアレンジしました。
によれば、
モスは水質浄化や水質のバロメーター、そしてシュリンプの餌場、隠れ家としても最適です
つまり、できるだけ入れる方がいい。
どうすればいいか?考えた結果、スペースの空いてたガラス壁でモスを育成することにしました。そのためのアイテムを作ったのが前回の記事です。
壁付けモスホルダーを3Dプリンターで作成しましたが、水中での使用する際の安全性については、調査してもハッキリしませんでした。熱帯魚用品で3Dプリンター製品の安全性云々をまとまているソースも見つけられませんでした。
ということで、
3Dプリンター製品を水槽で使用して生体に影響がないか?
について、現状の結果から考えてみます。
【NOTE】私の経験をもとにしたものです。すべての3Dプリンター製品の安全性について言及してませんので悪しからず。
まずはモスの成長量
安全性の前に壁付けモスホルダーの成長量です。まず一か月前。

1か月前
そして、現在(12/9)。

現在
毎日見ていると全然伸びていないように思いますが、結構成長してました。この写真では見えませんが裏側も同じように成長してます。これは予想外。光が当たらないから、あんまり成長しないもんだと思ってました。
ウィロモスはとても細かく切り刻んで乗せると成長活性が良くなるそうです。
南米ウィローはこちらのような挟み込む製品を好まない傾向にあると感じました。— さやかのおさかなおはちゅう垢 (@osakanasayaka) December 9, 2018
有益情報をもらいました。そうか。南米ウィローモスは挟み込まれるのが嫌いなんだ。しかし、写真から南米ウィローモスって判断できたのすごくない?
では、次からメインの安全性お話です。
考察: 熱帯魚用品(3Dプリンター製)の水中使用の安全性
まず、飼育環境です。
検証環境
- 水温:25~26℃
- 水槽サイズ:30キューブ
- PH:6~6.5(淡水)
- 水替え:週1~2回 4リットル(RO水)
- 生体:レッドビーシュリンプ×10匹+4匹追加(11/9)
- フィルタ―:底面+スポンジフィルター
生体数は増えました。現在では、稚エビ含めて25匹くらいいると思います。特に大量死などはなく元気にチミチミしてます。奇形などもおらず、今のところ問題ありませんが、少し前に脱皮不全が原因で☆になった子もいました。
脱皮不全は基本的に水中のミネラル不足によって発生するようです。
飼育水にはマルエツのRO水を使用しています。当然RO水は不純物は少なく、TDSで3~10くらいだったような気がします。
当然、添加剤をいくつか入れていますが、その添加剤の選択を間違えていました。当初はSMWだけ添加していたのですが、アラガミルクを追加で添加するようになってからは脱皮不全はありません。
3Dプリンターの材質であるポリ乳酸(以下、PLA)が水中のミネラルを吸収するという情報はありませんでした。脱皮不全の原因は間違いなく私の管理不備です。
①PLAが水中でどれだけ分解されるか?
PLAは生分解プラスチックです。
PLA樹脂はPoly-Lactic Acidポリ乳酸の頭文字をとった略で、トウモロコシやジャガイモなどに含まれるデンプンなどの植物由来のプラスチック素材だ。
高分子であるPLAは加水分解により微生物が処理しやすい形に変わります。水中での分解量については、まさにダイレクトな研究結果があります。
論文内の図を参照。この論文は各プラスチックを海水と淡水に浸漬し、その質量変化を研究しています。PLAの結果を見てもらうとわかるように、400日経過しても分解量は1%くらいです。
論文内にも、
All other so‐called (bio)degradable polymers (PCL and PLA) did not show any significant degradability under tested conditions. Degradation rates of polymers were relatively same in FW and SW
とあり、ほとんど変化しないと結論づけられており、また海水も淡水も変わらないとのこと。
によれば、土壌内であれば1週間くらいで分解するそうです。よって、PLAは水槽内にほとんど影響を及ぼさないと言えるでしょう。なお、以下文献も、かなり参考になりました。
②着色料の流出
PLAは自体は、ほぼ影響がなさそうです。残るはPLAの着色料の影響です。
私の使用しているフィラメントはこれ。Anycubicのフィラメントです。
色は黒です。
着色量はメーカーによって様々なはずで、こればっかりは調べてもしょうがありません。PLA自体に影響はないとすると、今回の実験はこの着色料の影響を調査していることに等しいはずです。
脱皮不全は先述の通り、私の管理不足である可能性が高いです。影響の受けやすい稚エビが元気に成長していることを考えると、1か月程度では影響はないレベルということが現状から推察されます。
なお、FDAで認証された安全な着色料を使用したフィラメントもあります。高いですが。
上で非常にわかりやすくまとめられてます。
フィラメント販売元
途中経過はこんなところ。今後も続けて検証を続ける必要はありますが、現状では(私の環境で)3Dプリンター製品の水中使用に問題はないと思われます。
まとめ
- PLAは水中でほとんど分解しない。問題は着色料か?
- 着色料はメーカーによって様々なので考察が難しい。
- 現状では大きな影響はない。つまり、着色料の影響は小。今後も検証を継続。
以上